どの学科のトレーニングでも必要な、鉛筆の削り方についてちょっと解説してみます。
■道具
削る道具ですが、私はカッターナイフより切出し小刀や刃の厚みのあるナイフがオススメです。3H以上の硬さの鉛筆だと、カッターの刃が芯の硬さに負けて逃げてしまうので、芯を鋭く研ぎにくくなります。カッターは切っ先を使って切る道具なので、刃の中頃を使って鉛筆を削るのはあまり効率が良くありません。
写真のナイフは私が鉛筆を削るために使っているナイフと、受講生の切り出し小刀です。
一番上はバタフライナイフです。そもそも用途としてあまりお勧めできませんが、カッターよりはるかに削りやすいですステンレス鋼です。
二番目は鉛筆を削るためだけに知り合いのナイフ職人に作ってもらったナイフです。ダマスカス鋼でできていて、非常に使いやすいですが、作者に言わせるともっと削るのに適した鋼材はあるそうです。でも見た目は大事。
三つ目は画材屋さんで手に入れやすい切り出し小刀です。2000円しないぐらいで購入できると思います。切れなくなっても研げば切れ味が戻るので、長く使える上に非常に楽に削れます。右手用と左手用があります。受験生として持つ鉛筆の量はバカにならないため、楽に削れる装備は重要です。楽に削れると、鉛筆を仕上げること自体も楽しくなります。
■削り方
文字を書くときに比べて、芯を長く出します。鉛筆の硬さで芯を出す量は若干変化します。鉛筆の木の軸の6つの角から削って6面を作ります。このとき芯は木の軸を削った面と芯を面一に合わせて削ると使いやすくなります。
面一にすることでかかる力を分散し、芯が折れにくくなります。面からえぐれている箇所があると、そこに力が集中して、そこから折れてしまうことがあります。反対に出っ張りがあると、それが紙に引っかき傷をつけてしまい、作画の邪魔になります。
6面を作る理由は、木の軸の面と同じく、保持したときに力をかけやすくなるからということが一つ。その他に“角が多いほうが便利“ということがあります。消しゴムの角と同じく、角があるほうが力がかかるため強い調子を出すことができるし、シャープな線を描くときにも、鉛筆のどこから調子が出ているのかわかりやすいので細部まで表現しやすくなります。弱い調子を使いたいときには面を使えばいいので、使い分けも簡単です。無駄に先端の角を消費することもなくなるので、芯が短くなって来たときでも先端のシャープさを維持しやすく、書き心地が悪くなったり、調子が甘くなってくることを避けられる上に、削る回数を減らすことで作画にかけられる時間を増やすことができます。
■ケース選びも重要!
鉛筆を入れる好きなケースを選びましょう!
ステッカーなどを貼って自己主張すると、愛着も湧き、トレーニングにも身が入ります。
■最後に
もちろんこれは削り方の一例であり、必ずこうしなければならないというものでもありません。これよりも効率の良い削り方ができればそれで構いません。
要は、“美しい画面を作るための気遣い“を行えていれば良しです。
自分の作品を良い形で作るための努力は、自主的にどんどん考えて実践していく気構えを持ちましょう!